[映画]40年前の名画「遠すぎた橋(Bridge too far)」の舞台の橋、遠すぎた橋は本当に遠かった

史実を元にして作られた戦争映画の名作「遠すぎた橋」は第二次世界大戦中史上最大規模の作戦、マーケット・ガーデン作成を題材とした映画です、そしてその舞台はオランダです。

映画「遠すぎた橋」あらすじ

「遠すぎた橋」はロバート・レッドフォード、ジーン・ハックマン、マイケル・ケイン、ショーン・コネリーアンソニー・ホプキンス、マクシミリアン・シェル(映画「ニュールンベルグ裁判」でドイツ側の弁護人を演じ第34回アカデミー賞主演男優賞受賞)など名俳優が出演した第二次世界大戦のマーケット・ガーデン作戦を題材にした1977年の映画。

画像を見ると「古い映画」と思われるかもしれませんが、史実に基づいたストーリー、そのドラマは肉厚で、作成後40年を経た今見ても古さは感じられません。



マーケットガーデン作戦(Operation Market Garden)とは

マーケット・ガーデン作成とは、1944年9月に行われた連合国軍の作戦。空挺作戦「マーケット」アイントホーフェン、ナイメーヘン、アルンヘムにかかる橋梁確保のための作戦、と地上軍「ガーデン」は空挺部隊によって確保された橋梁と道路を使用して一気に進撃しようとする機甲部隊による作戦の二つを合わせたものです。補給線が伸びきっていた連合軍の兵站問題を解決する上で急務な作戦でした。

イギリス第21軍集団司令官バーナード・モントゴメリー元帥が、英軍主力の第21軍集団を使ってオランダのドイツ軍を排除、アントワープ港を使用可能とし、ライン川の下流域でドイツ国境を突破し、ルール工業地帯に打撃を与えることによってドイツの継戦能力を奪い1944年内のクリスマスまでに戦争を終結させられると考えました。

連合軍最高司令官アイゼンハワーはこの作戦案を拒否しましたが、最終的に政治的圧力に妥協し、作戦を実行することになりました。

各部隊の攻防、悲劇的結末 

連合軍は30,000もの兵力を空挺部隊を降下させます。空挺部隊は地上の援軍が到着するまで占領地帯を死守しなければなりません。空挺部隊は、貧弱な装備しか有しておらず、ドイツ軍による猛攻撃に耐えることができませんでした。映画では、各都市で戦果を挙げて住民たちに歓喜をもって迎えられる部隊もいれば、苦戦する部隊も対比的に描写されます。

結局連合軍は7,000以上の死者と7,000近くの戦争捕虜を出し、作戦実行8日目にして作戦の中止と撤退となりました。人々の思惑、ドラマが映画の見所ですが、連合軍の各部隊の悲劇的な最後に作戦を下した司令官の戦略的未熟さが際立ちました。

ナイメーヘンのライン橋
ナイメーヘンのライン橋










 

マーケット・ガーデン作戦の舞台 

マーケット・ガーデン作戦で、ナイメーヘンとアーネムはその地理的重要性、橋の奪還のため激戦地となりました。アイントフォーヘンなど他の地域は、橋がドイツ軍によって破壊されても簡易な橋を掛けることが容易であったことに比べ、ナイメーヘンとアーネムに流れる川の川幅、そして流れの強さから、なんとしてもそれらの橋をドイツ軍に破壊されることなく奪還しなければなりませんでした。

激戦の地、アーネム

物語の山場である、激戦の舞台となったのはアーネム。隣の都市、ナイメーヘンの橋は、すでに奪還に成功しているため、ここが、作戦の最終到達点でした。アーネムを流れるネーデルライン川の「ジョン・フロスト橋(John Frostbrug)」、この橋の奪還が作戦の成否の鍵を握っておりました。

しかし、補給の途絶、アーネム周辺に、ドイツ軍の実戦部隊である第9SS装甲師団や第1降下猟兵軍などが一時駐留していたという不運も重なった。結局、イギリス軍の第1空挺師団が壊滅し、奪還できず、作戦は失敗に終わります。

ショーンコネリーが演じたロイ・アーカート少将が率いる空挺部隊が最後まで戦った、ハルテンスタイン・ホテルは、ジョン・フロスト橋まで直線距離でわずか5.8キロの場所にあります。

作戦の失敗、その後

本作戦で連合軍は最終目標こそ達成できませんでした。しかし、スヘルデ川北岸地域に至る重要なルートを確保し、ベルギー北部及びオランダ南西部で、連合国軍とドイツ第15軍との間で行われた戦闘であるスヘルデの戦いの成功に繋がりました。もちろん、スヘルデの戦いも大変多くの負傷者を出しました。

今のアーネムとナイメーヘン

大戦で破壊された建物はその面影を残すことなく、綺麗に修繕・改築されて、その当時を忍ばれるものは見当たりません。アーネムのハルテンスタイン・ホテルは博物館に、そして映画のタイトルとなった作戦の最終目的地ジョンフロスト橋があります。

ワール川に新しい橋がかかる

ナイメーヘンを流れるワール川ですが、ワール川(蘭:Waal)は、全長は80km、幅は150メートル程、水深は2.8メートルと浅め。オランダを中部を貫いて流れる川です。ライン川がライン・マース・スヘルデ三角州に流れ込んで分岐した川の一つ、ライン川総流量の65%が流れ込んできており流れも早めです。

2013年4月末の土日にナイメーヘンにワール川と向こう岸を結ぶ新しい橋がつながりました。橋が架かる瞬間こそは見られなかったものの、4月19日金曜日、出かける際に車窓から見える橋はあとは両側をつなぐだけの格好になっており、21日、日曜日に再び車窓からその橋を見たときには川の両端を渡していました。


混雑しているナイメーヘン第一の橋

4月20日土曜日にかかったその橋は全長285m、幅60m、総量9000tで、ナイメーヘンからワール川に架かる橋はこれで三つ目です。一つ目の橋は、一般車両・自転車・徒歩のためにかかっているもの、二つ目の橋は電車用、そして第一の橋の混雑緩和のため、今回、第三の橋がかかりました。

橋を観ながら、A Bridge Too Far「遠すぎた橋」の映画の舞台になったこの地に想いを馳せています。

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