マラカニアン宮殿(Malacañang Palace)ーフィリピンの政治・歴史を学ぶ

フィリピンの政治・経済史は大統領とその政策にあり。マラカニアン宮殿博物館は、フィリピンの政治史過去100年から現在を俯瞰できる場所です。

また、エドサ革命時に大衆によってマラカニアン宮殿を包囲された故マルコス大統領は、イメルダ夫人と亡命を余儀なくされた、その政変の舞台であり、イメルダ夫人の豪華な所持品、6,000着のドレスと3,000足の靴がマラカニアンに残された、そんな政権の醜聞が露見したのもこの場所。

セキュリティの関係で依然として事前の申し込み・予約が必要ながらも、ドゥテルテ大統領期になり訪問が無料となった博物館です。(2018年現在、国立の博物館は外国人を含み入場が無料となっています。)
マラカニアン宮殿博物館 Malacañang Palace 正面
マラカニアン宮殿博物館 正面
写真に収めきれませんでしたが、フィリピンの国旗がはためいていました

マラカニアン宮殿の歴史を俯瞰

マラカニアン宮殿(Malacañang Palace)は、フィリピンの大統領官邸で、マニラ市のサン・ミゲル地区にあります。1750年竣工したこの建物は、スペイン植民地期にスペイン人貴族ルイス・ロチャ(Luis Rocha)の夏の住まいとして建設され、後にスペインの総督の住まいとなり、後アメリカ占領期においてはコモンウェルス政府の初代大統領マニュエル・ケソンが入居し、以降は大統領官邸として機能するようになります。

宮殿のツアー

ツアーは、当日渡されるしおり(英語)で書かれている部屋をガイドとなる当館スタッフに連れられ、ナラの木で作られた重厚な大統領の執務室、現大統領が当選した際に送られた寄贈品の展示室、催し物が行われたホールなどを短い時間で回ります。
Malacañang Palace 内部
客人の待合室として使われたこの場所は、展示室になっています。
現在歴代の大統領(あるいは候補)の選挙グッズ(ステッカー、リストバンド、Tシャツ、ポスター等)が
飾られているほか、選挙結果も壁に掲示されています。

ツアーは、フィリピンの大統領を中心とする歴史を振り返る短いビデオから始まります。

ビデオは短く、すぐにその隣の部屋へと巡回することになります。ビデオを視聴した部屋の向かいにある部屋は、訪問者の待合室として使用されてましたが、今は歴代の大統領が選挙キャンペーンに利用した、ビラや、ロゴなどが展示されています。また壁には、当選時の選挙結果が見られます。

ツアーの見どころ

ツアーの見どころは、(個人の興味にもよりますが!)なんと言っても歴代の大統領の使っていた執務室。マルコス政権時、大統領が戒厳令を発令したテーブルとその一室も見られ、また手書きの大統領令なども見ることができます。また、ナラの木が重厚なマニュエル・ケソン大統領の執務室など歴史のその舞台を見ることができます。
大統領が戒厳令を発令した部屋・机 Malacañang Palace 内部
大統領が戒厳令を発令した部屋・机



マラカニアン宮殿 ケソン大統領執務室
マラカニアン宮殿 ケソン大統領執務室

また、博物館2階の黒板は必見。EDSA革命の時に、政府がデモ隊をどのように鎮圧するのか、議論する際に使われたもの。一昔前はパワーポイントはなかったので、このように黒板に書いて情報を共有したのですね。革命から30年以上も経っておりますが、現物が残っていることに感動です。
EDSA通り、キャンプ・アギナルド周辺の様子

メインホールは、建物2階に位置しており、建物建設当初の1920年時にはゲスト用の寝室がありました。マルコス大統領時代にはMahalika Hallと命名され、催し物、社交ダンス場ともなりました。現在そこには、歴代の大統領の肖像画と共に、就任演説のハイライトが提示されています。また、大統領が着用した衣類や大統領から寄贈された品なども展示されています。
ラモス大統領の肖像画と就任演説の一部
ラモス大統領の肖像画と就任演説の一部
また一室には、歴代のファーストレディの肖像画があり(もちろん、イメルダマルコスの肖像画も!)、そして国賓を向かえた時の写真なども展示されています。その中には、日本の天皇陛下のお写真もありました。
マラカニアン宮殿を訪問した国賓
マラカニアン宮殿を訪問した国賓

ツアーはガイドによって管理されているため、ひと所に長居はできないのが残念ですが、頂いたパンフレットにはないエピソードなどはガイドさんから聞くことができます。例えば、マルコス大統領の執務室マルコス時代、大統領府の紋章が鷹となったが、後のアキノ政権で以前に使っていたマーライオンのようなロゴに再度もどされました。

来館前に

この博物館は予約制です。予約は、月曜日から金曜日の特定の時間にのみ可能です。時間は、9、10、11、13、14、15時から選びますが、近年大統領が国立の博物館の入場を無料とした関係で、混み合っているため望んでいた通りの時間で予約が取れないこともただあります。

外国人の場合、予約時にパスポートの個人情報が掲載されているページをメールで送信しないといけません。服装は、スマートカジュアル。厳しくはないようですが、ビーチサンダル、TシャツはもちろんX。

予約の手間から気軽に訪れるような博物館とはなっていませんが、フィリピン政治文化史に触れられる、他にはない博物館です。

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